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――痛い、ですか? 三角木馬にまたがる少女に、わたしはそう語りかけました。

ご主人様から使えと言われた道具、三角木馬。

此処よりやや南の街ですと、ロバと言われたりもするそうです。

想像するだけで、痛みがわかろうかという道具です。

木目に染みた黒いシミの正体が、いったい何であったかと思うと……。

わたしの内心を知ってか知らずかわかりませんが、トトノさんは明るい声でおっしゃいます。

別に、大したことではありませんよ、と。

そして、まるで子どものように邪気のない顔で、女の子を『いじめる』準備をなさいます。

――焦らすのが、一番大切です。

トトノさんは、秘密をひけらかす子どものように、わたしに教えてくれました。

――怯えさせるには、言葉を順番に『置いていく』ことも重要なんです。

目の前には、苦しそうに脂汗を浮かべる女の子。

トトノさんは、女の子の足に鉄球を吊り下げます。

ひと抱えもある鉄球です。女の子は、もう、声も上げられない様子でした。

トトノさんが、わたしに耳打ちしてきます。

ご主人様の前で実演するようになることがあるでしょうから、やってみなさいな、と。

わたしは、からからになった口を湿らせようと、無理やり生唾を飲み込みました。喉がひりついて、痛みます。

まあ、木馬の上の彼女の方が、よっぽど痛いでしょうけれど。

鉄球の上に足をのせます。

女の子の顎に手を当てて上向かせると、言われた通りにささやきます。

――痛い、ですか?

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