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――泣けるうちは、大丈夫ですから。コウノトリに捕まった女の子に、トトノさんは言い放ちました。

近いうちに、教会からたくさん魔女が拘引されてくるそうです。

普段は見た目を重視するご主人様ですが、実用的に自白を引き出す必要があるだとかで、器具を注文されたのだとか。

器具ができたとのことで、今日もトトノ商会さんへおつかいです。

――嵌めて、転がしておくだけなんで、簡単ですよ。

ご挨拶もそこそこに、トトノさんから器具を見せていただいたのですが、『あたらしい器具』はただの鉄の棒でした。

わたしが、よっぽどおかしな顔をしていたのでしょうか。

トトノさんが実演してくださることになりました。女の子が連れてこられ、『あたらしい器具』に拘束されていきます。

――まあ、見ていてください。『コウノトリ』は、すぐに、とは言いません。そのうちに、ものすごく、効いてきますから。

トトノさんは自信満々に説明なさいます。

なんでも、身体を傷つけずに苦痛を与える、『コウノトリ』のような器具が、尋問には最も向いているのだとか。

曰く、ひとの身体というものは、同じ姿勢で座り続けることは出来ないようになっているそうです。

無理に同じ姿勢を取り続けると、まず筋肉が硬直して痛みだす、と。

それでもなお同じ姿勢でいると、激しい苦痛をともなって痙攣する、とのことです。

確かに、同じ姿勢で座っているとお尻が痛くなってきますけど……実際はどうなのでしょう?

そんな雑談をしているうちに、変化が起こり始めました。

女の子は、額に脂汗を浮かべながら、苦悶の表情を浮かべていたのです。

痛みのためでしょうか。両の頬には、涙がつたっています。

トトノさんは、ほらね、という顔で、女の子の髪を撫でつけながら、言い聞かせるようにいうのです。

泣けるうちは、まだまだ大丈夫ですよ、と。

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